一口に大腿骨骨折といっても、骨折した部位によって、あるいは同じ部位でも医師によって傷病名は様々です。
主な傷病名として、大腿骨頚部骨折、大腿骨骨幹部骨折、大腿骨顆部骨折などがあります。

大腿骨上部の骨折

大腿骨の上部は、骨頭、頚部、転子部からなります。

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骨頭で骨折すれば大腿骨頭骨折、頚部で骨折すれば大腿骨頚部骨折、転子部で骨折すれば大腿骨転子部骨折、頚部でも関節包の内側で骨折すれば大腿骨頚部内側骨折、関節包の外側で骨折すれば大腿骨頚部外側骨折、または、大腿骨上部を総称して大腿骨近位端骨折などという傷病名が付くこともあります。
症状としては、足の付け根部分激しい痛みがあり、ほとんどの場合立つこともできません。

関節包内の骨折である大腿骨頭骨折、大腿骨頚部内側骨折などは血行障害等により骨癒合もしにくく、転位があれば骨頭壊死を引き起こす可能性もあります。
その場合は、人口骨頭に置換することも視野に入れます。

関節包外の骨折である大腿骨頚部外側骨折や大腿骨転子部骨折の場合、骨癒合は比較的順調に進みます。

人口骨頭に置換した場合、後遺障害10級11号が、人口骨頭に置換し、かつ、可動域に2分の1以上の制限が残った場合は後遺障害8級6号が、骨折により可動域に2分の1以上の制限が残った場合は後遺障害10級11号が、可動域に4分の3以上の制限が残った場合は後遺障害12級7号が、可動域に制限のこらない場合でも、常時疼痛がある場合は後遺障害12級13号、14級9号が認定される可能性があります。

大腿骨骨幹部骨折

人体最大の長管骨である大腿骨のちょうど真ん中あたりで折れるのを大腿骨骨幹部骨折といいます。
症状としては、激しい痛みがあり、ほとんどの場合立つことも出来ず、異常な可動性を示します。
筋力のある成人では転位することが多いため、徒手整復して保存療法をとるよりも、髄内釘やプレートを使用した固定術を行うことが一般的です。

骨癒合は比較的順調に進みますので、大きな障害を残す可能性は低いですが、偽関節を起こすことがありますので注意が必要です。
偽関節に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1081.html
骨がきちんとくっつかずに、まるで大腿骨の真ん中に関節が出来たようになることです。

また、癒合するときに変形して癒合してしまうこともあります。
変形癒合に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1179.html

偽関節を残せば、後遺障害8級9号が、変形を残せば後遺障害12級8号が、可能性は低いですが、下肢の短縮を残せば、短縮度合いにより8級5号、10級8号、13級8号が認定される可能性があります。

大腿骨下部の骨折

傷病名としては、大腿骨顆部骨折、大腿骨顆上骨折、大腿骨遠位端骨折などがあり、先生によって診断名は様々です。
膝のすぐ上の部分で、大腿骨の下端部です。
症状としては、激しい痛みや膝関節の可動域制限などが起こります。
大腿骨顆部骨折だけにとどまらず、半月板損傷、前十字靭帯・後十字靭帯損傷などの症状を併発する可能性があります。

最近では、膝関節拘縮を防ぐために手術によるプレート固定術が行われ、

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術後早い段階からCPMで膝関節の可動域を改善するためのリハビリを行います。
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術後の膝関節可動域が思わしくなく、関節受動術を行ってなお、膝屈曲60度の被害者を経験しています。

この部分の骨折では、膝の可動域に制限を残すことが多くなります。
骨折により可動域に2分の1以上の制限が残った場合は後遺障害10級11号が、可動域に4分の3以上の制限が残った場合は後遺障害12級7号が、
可動域に制限のこらない場合でも、常時疼痛がある場合は後遺障害12級13号、14級9号が認定される可能性があります。

また、骨折部が変形して癒合した場合も後遺障害を残す場合があります。
変形癒合に関しては、こちらをご覧ください。
http://www.ziko-sodan.com/cat-3/1179.html

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